【着物と家紋のお話】秋篠宮佳子内親王のブラジルご訪問のお着物と家紋から読み解く

2025年、秋篠宮家の佳子内親王が、日本とブラジルの外交関係樹立130周年を記念した式典に参加するためブラジルにご訪問されました。佳子さまがお召しになっていたお着物、そして、家紋について、KIMONO SHSOES HeWhoMe代表 小野崎記子が解説します。
着物の種類と名称
着物にはいろいろなルールが存在します。既婚と未婚ではそもそも着る着物が異なったり、柄ゆきによって格が高い順に「正礼装」、「準礼装」、「略礼装」と分けたり、ですね。これは西洋でも、パーティが昼か夜かでドレスを変えるのと近いかと思います。
今回佳子さまがお召しになっていたお着物は、未婚女性の正礼装である振袖でした。日本では20歳の成人式がありますが、その時に女の子たちが着るのがこの振袖というくらい着物の中でもメジャーなものです。
今のところ拝見できた佳子さまの振袖は2着です。
バンデイランテス宮殿で勲章を授与される場面には、 淡い黄色の振袖に萌黄色の帯。橙色の帯上げを合わせ、とても上品で格式高いお着物姿でした。
また、首都ブラジリアでの外交130周年記念式典では、水色の振袖に朱色の帯。こちらは、2024年の園遊会でもお召になったものです。
(2023年12月宮内庁より)
佳子さま振り袖姿でブラジル大統領を表敬 7年前の姉・眞子さんと“リンクコーデ” ブラジルに“縁”…装いに込めた思い
当時、こちらの着物には、秋篠宮家の家紋である菊栂(きくつが)の三つ紋(3つ紋)が入っているとの報道がありました。
この紋入り、紋なし、というのも着物の大切なルールで、とても重要なものです。
日本の家紋について、少し解説します。
着物にいれる家紋について
日本には、昔から家紋(かもん)という家ごとに持つ紋があります。これは、代々引き継がれていくもので、昔は戦場の旗にいれて、敵味方を判断できるようにするものでした。
現代では、着物やお墓、お仏壇などの仏具にいれることがほとんどかなと思います。
(伊万里の仏壇屋 宮園仏壇製作所 5代目ブログさまより)
3つの紋の入れ方
お着物の紋入りには、五つ紋(5つ紋)、三つ紋(3つ紋)、一つ紋(1つ紋)の3種類があって、紋の数が多い方が格式が高いとされています。
佳子さまがお召しになっている振袖は、そもそもが未婚女性の最上位のお着物、さらに紋を3ついれて、正装感を高めているという印象です。
紋を入れる場所はこちらです。
紋入り着物にはパワーがある
お着物自体にも明確な格がありますが、この紋を入れると、急に格が上がるというようなことも起こるのが面白いところです。
例えばこちらの江戸小紋(えどこもん)。
小紋という着物自体、もっとも格の低いカジュアルなものなのですが、江戸小紋の中でもこの鮫(さめ)という柄は特別扱いされます。なぜなら、江戸時代から武士が身につけた格式高い柄であること、そして、細かい柄ゆきが、遠くから見ると無地(むじ)と呼ばれる、もう1ランク上の着物に見えるからです。
よって、この1つ紋をつけるとカジュアルオシャレ着から、礼装に格上げされるのです。
これぞ、紋の威力。
(アンティーク着物のからんさまより)
皇室の家紋について
この家紋、いつからあるのか、というと、平安時代(西暦800年頃)から貴族が使い始めたようで、室町時代(西暦1400年頃)には庶民も使っていたようです。
平安時代には着物の原型も出始めていましたから、リンクしながら形を変えて、現代にいたるということと思います。
天皇家の家紋について
それでは、一番古い家紋を持つおうちは、どちらでしょうか?
それこそが2685年という世界一長い歴史を持つ天皇家なのです。「菊花紋」は、天皇家の家紋であり、皇室の紋章です。
(天皇家家紋|十六葉八重表菊)
秋篠宮家の家紋について
そして、今回佳子内親王の振袖の紋は「菊栂」。
秋篠宮家は、天皇家の家系から分岐した宮家のため、平成2年(1990年)に秋篠宮家が創設された際に新しい家紋として定められました。
皇室の紋である菊をベースに、秋篠宮さまのお印(個人の紋章)である「栂」を組み合わせ、この紋になったそうです。
(秋篠宮家紋|菊栂)
不敬ですが、宮家とは天皇家の分家。
この分家の家紋という観点から見てみましょう。
分家の家紋の定め方
長男が本家を継いだら、次男、三男以下の分家の家紋はどうするのでしょうか?
基本は本家の家紋をベースに、いろいろくっつけていくという方法が一般的なようです。丸で囲ったり、2つや3つに数を増やしたり、好きなモチーフをくっつけてみたり。
秋篠宮家の紋は、まさにこのルールでできたと言っていいと思います。
庶民としては親近感が湧く話ですね。
これは洋の東西を問わず、ヨーロッパの紋章も、父の紋章をベースにするそうです。家ではなく個人を示すものなので、より複雑化しやすいとか。
HeWhoMeのロゴも家紋です
ご存じでしたか?HeWhoMeのロゴこそ、私、小野崎家の家紋である「丸に立ち沢潟(まるにたちおもだか)」。
沢潟紋は、勝ち草と言われ、縁起のよい植物です。
ポピュラーで人気があるからか、いろいろなバリエーションがあります。
はい、ドン!
これでもまだ、沢潟紋の一部でしかありません。
これだけの分家が作られたということかと考えると、なかなか深いですね。
番外編:クイーンの紋章
こちらは家ではありませんが、伝説的バンド、クイーンの紋章と言われているロゴです。
フレディ・マーキュリー、ブライアン・メイ、ロジャー・テイラー、ジョン・ディーコン、この4人のモチーフがすべてはいっているんですよね。しし座のロジャーとジョンが両脇に、かに座のブライアンがセンター、乙女座のフレディは妖精です。
家族もチーム、バンドもチームと考えると、個人の紋章というよりも家の家紋に近い意味合いなのではないかと思います。
結束を固めるための象徴として、抜群に機能したロゴと言えるでしょう。
着物と家紋のまとめ
日本の伝統である、着物と家紋をお伝えしました。
どちらも奥深く、HeWhoMeにとても絡むお話ですから、今後もちょこちょこ触れていくことになるでしょう。
HeWhoMeで取り扱っている着物についても、なぜその着物を選んだのか、そのストーリーや、世界でも人気になりつつある戦国武将も皆、家紋を持っていますから、このあたりも日本の歴史とあわせてお話しできるといいなと思います。
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